106570454_bd10de8f83_zここでいう大型書店とは、例えば池袋の「ジュンク堂書店」、新宿東口の「紀伊国屋書店 新宿本店」や南口の「紀伊國屋書店 新宿南店」、新宿西口の「ブックファースト 新宿店」、代官山の「蔦谷書店」などのように、ビル一つが丸ごと書店であったり、3フロア以上に展開されているようなお店をイメージしています。

フロア面積が大きい分、棚数が多く、保有冊数も多いのが大きな特徴です。便利なのですが、これが却って、「これぞ!」という本が埋もれてしまってなかなか見つけられないという事態を引き起こします。書店選びにおいて「大が小を兼ねる」とは限らないのです。

👍メリット

  • 棚数が多く、必然的に保有冊数も多い
  • 在庫を多くストックできるので、売切れやすいベストセラー書も十分な在庫を持っている事が多い
  • マイナージャンルの本も見つけやすい
  • 店舗が大きい分、働くスタッフも多い。そのため、自分が探している本を得意とするスタッフを見つけやすい
    • 大抵の書店では、本のジャンルや棚エリアごとに担当が別れていて、各エリア・ジャンル毎に詳しいスタッフがいます。

👎デメリット

  • 棚数が多いので、漠然と棚を眺めながら本を探すには時間がかかるし、疲れる
    • 1時間でも2時間でもじっくり時間をかけて探すことが出来る時なら問題ありません。
      喫茶室を併設している書店も多いので、途中で休むこともできます。
      また最近は、座ってじっくり本を選ぶことが出来る書店も増えています。
  • 棚数に余裕がある分、ラインナップの新陳代謝が遅い。そのため、マイナージャンルになると、通っても通ってもあまり変わり映えしないように感じることがある
  • 広く浅くになりがち
  • 休日などお客さんが多い時は、レジが混む。ひたすら混む。
    • 日曜日夕方ごろのジュンク堂書店池袋本店の1階レジなんて、1Fがほとんどレジ待ちの人で埋まってしまう!

 💡賢い使い方

  • 目当ての本が絞り込まれている場合「この本」が欲しい)は、目当ての本がすぐ手に入る可能性が高いので、便利
  • 目当ての「ジャンル」「内容」がはっきりしていて、手元で比べながら探したい(たとえば、「線形代数学の参考書を探したい」)時には、比較できる本が多くて便利
  • 小さなお店ではすぐ売り切れそうなベストセラー書をいち早く購入したい時、在庫数の多い大型書店が有利
  • 専門書やニッチな内容の本を探す時には、ラインナップ豊富な大型書店が有利
  • 書店員に相談したい時は、専門スタッフの多い大型書店が便利
  • ふらっと眺めながら本を探したいときには、注意が必要。
    • 十分な時間(と体力)をかけられる時はご自由にどうぞ。
    • ある程度、眺める分野、エリアを絞っておく。
    • 選書棚を活用する
  • 大型書店のラインナップはどうしても「広く浅く」になりがちだが、それでも書店によって
    得意な分野やラインナップの傾向はあるので、趣味(または目的)にあった書店を選ぶのが良い


bernal heights park II / striatic

6752600849_e19d394973_z今や本に限らず、様々な物がネットショップで手に入る時代です。しかしネットショップは、すでに狙いを付けている本を購入するにはとても便利なものですが、未知の本に出会ったり、なんとなくぼんやりとしたイメージで本を探す(和食のレシピ本を探したいが、好みに合いそうな料理が掲載されている本がわからない、とか)には不向きです。書店に行けば、沢山の本を一度に眺めて、手にとって中身を確認しながら探すことができます。お買いものはネットで済ます派の人も、新たな本と出会うためには、書店を活用する技術を知ることが必要です。

さて、皆さんの生活圏内には、いったい何軒の書店があるでしょうか?地域差はあるでしょうが、電車やバスで多少足を延ばすことも厭わなければ、数軒はあるのではないでしょうか。そして、それらの身近にある複数の書店を、あなたはどうやって「使い分けて」いますか?

ちょっと古い情報ですが、さっと確認できた統計情報として、総務省統計局サイトで公開されている情報(日本の長期統計系列 第26章 文化・レジャー)を見てみると、日本において、新刊書籍は年間約77,031冊の新刊書籍が刊行されています(2004年実績値)。つまり平均すると、1日に200冊以上の新刊書籍(しかもこれは雑誌を除いた数字です)が全国の書店に並ぶことになります。人気の本がお客さんの手に渡っていく一方で、売れない本は容赦なく出版社に返本され、空いたスペースに次の本を詰めていく。無限に大きな書店など存在しませんから、書店に並ぶ本は毎日が淘汰、淘汰の連続です。

その中で、皆さんが次に出会うべき"運命の本"を的確に探し当てるためには、書店を正しく活用して、「"運命の本"と出会う確率を上げる」ことが大切です。

世の中に本屋さんはたくさんありますが、どれもみんな違うのです。「大きい本屋があれば、小さい本屋はいらない」「チェーン店の本屋ならどこも品ぞろえは似たようなもの」「駅前にある高々数畳しかないような本屋なんて、見る価値ない」などなど、これ皆間違った考えです。本屋の違いを正しく見極めて活用する方法を身につけましょう。具体的な内容はまた別の日に。



Queensland Book Depot, Brisbane, ca. 1940 / State Library of Queensland, Australia