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14912515452_d5d7a998c2_z新しい本を手に入れようとしたとき、「新刊を買う」「古書を買う」「借りる」という、大きく3つの方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。どれも当たり前な事ですが、本を手に入れるときは、用途やお財布事情などに応じて、入手方法を考えましょう。

「新刊を買う」

👍メリット

  • 新しい、きれいな本が手に入る
    …何しろ「新」刊ですから、当たり前ですね。
  • 書店在庫があればすぐ手に入る
  • (書店在庫がなくても)取り次ぎ在庫や版元在庫があれば注文できる
  • 付録、帯、差し込みパンフレットなどが入っている(こともある)

👎デメリット

  • 新刊なので比較的高くつく
    (新刊であるにも関わらず、例外的に定価より安く手に入る場合もあります)
  • 絶版となり、在庫もなくなればそもそも新刊としては入手不可能

「古書を買う」

👍メリット

  • 安く手に入る(希少書籍を除く)
  • 絶版になった本、希少書籍も手に入る
    …絶版になってしまった本は、古書をあさるしかありません。

👎デメリット

  • 多かれ少なかれ、人の手を渡ったものなので傷んでいる
    …新品同様のものもあれば、古い本だとほとんど崩壊しかかっているものまで。
  • 目当ての本がすぐ手に入るとは限らない
  • 希少書籍の場合は却って高価になる場合がある
    …発売開始と同時にプレミアがついて古書取引されることも。
    …よくよく調べると、復刻版などが後から出ていて、安く入手できるなんてことも。
  • 付録、帯、差し込みパンフレットなどが手に入らない場合がある
    …逆に、入っているはずのないものが入っていることもあります。たとえばこんな事が!

「借りる」(図書館内閲覧を含む)

👍メリット

  • (公共図書館や学校図書館なら)無料です。
    …ただし、交通費は別。また、一口に図書館と言っても、有償の図書館もあります。
  • 返却期限があるから、読むモチベーションになるという人もたまにいます。

👎デメリット

  • 在庫がない(または足りなくて予約待ちになっている)と手に入らない
  • 期限が定められており、返却しなくてはならない。
    …永久所蔵もできませんし、期限内に読んで返す義務があります。
  • 書き込みができない
    …アンダーラインを引いたり、メモ書きをしながら読みたい人には致命的です。
    (関連:書けないパズルの価値は?

 


トップで使用した、天井画の美しいこの図書館は、チェコのプラハにあるストラホフ修道院です。

 


Strahov's second library / waitscm

カテゴリ別に読みたい方は、以下の大カテゴリをお選びください。
📕本の形 🔎本の探し方 💸本を手に入れる場所 📌書斎の本棚から ✒エッセイ

コンピュータの動くしくみ

◆書誌情報
出版社による書籍紹介ページ
http://www.shuwasystem.co.jp/products/7980html/2746.html
2012年 絶版となりました。
◆解説
◇出版社解説文

新人エンジニアや情報工学を学ぶ学生など、コンピュータを学びたい人向けに、コンピュータのしくみをハードウェアの側面からわかりやすく解説した入 門書です。コンピュータを学ぶというと、どうしてもプログラミングを学ぶことと思いがちですが、ハードウェアを学ぶということは、ソフトウェアをより深い レベルで理解することにつながります。本書ではまず、0と1だけで計算する2進数のしくみを考えるところから出発し、その計算を電気回路、電子回路に行わ せるにはどうすればよいか、メモリーやCPU、I/Oについてもわかりやすい図解を交えて解説します。また、Flashアニメで回路の動作がみられます。

◇著者解説文

「コンピュータはどのようなしくみで動いているのか?」という疑問を解決するために必要な情報だけを厳選して詰め込みました。主な対象読者はコンピュータを学ぼうとしている高校生、大学生、新社会人の方々です。

例えプログラマといえども、コンピュータエンジニアとしてはハードウェアの知識も必要です。特に組み込みコンピュータの分野ではハードとソフトの両 方を理解している人材が求められています。しかし既存の本は、電気なら電気、論理なら論理、電子回路なら電子回路の分野を深く掘り下げる形で書かれている のが普通です。コンピュータは多くの分野が交錯した複合分野であるため、ハードウェアを既存の本で学ぼうとするといくつもの本を読んで理解しなくてはなり ません。そこで本書は思い切って分野の垣根を取り払い、コンピュータの理解に必要な知識だけを丁寧に解説することで、ハードウェアを学ぶ入門、足掛かりと して役立つ本を目指しました。

また、ただのイラストだけでは理解が難しい部分に関しては、本文に示されたQRコードを携帯電話で読み取ることで、Flashムービーによる解説を見ることができます。

2010年11月20日発行の 工学院大学 学園広報誌『窓 Vol.168』に紹介記事を掲載していただきました!
http://www.kogakuin.ac.jp/mado/mado168.pdf

◆正誤情報

以下の誤りが見つかっています。謹んでお詫びいたします。

  • 第1版1刷
    • p.III はじめに l.2「ハードウェアの側面からを理解する」→「ハードウェアの側面から理解する」
    • p.43 図2-13 d(デシ)は正しくは10^-1 であり,正しくは0の線とm(ミリ)の線の間に位置します.
      • d(デシ)は、10^1を表すda(デカ)の誤りであるとの指摘も頂きましたが、デシを表す事が著者の意図です。(daは通常使用する事がほとんどない接頭辞であるため)
    • p.80 図3-9 「NOT回路に0が入力」→「NOT回路に1が入力」
    • p.97 「Cont」→「Cout」
    • p.102 下から4行目 「ABCinA+CinB+AB」→「CinA+CinB+AB」
    • p.103 図3-49の上 「この回路を図3-49に付け加えると」→「この回路を図3-43に付け加えると」
    • p.120 図4-6 「11+10=100」→「11+10=101」
    • p.127 図4-17 -が半角になってしまい、バランスが悪くなっています。
    • p.161 下から4行目 「わかりにくい回路だTと・・・」→「わかりにくい回路だと」
    • p.172 「図6-5の③メモを見て足し算」→「図6-5の③メモを見て引き算」
    • p.192 下から6行目 「ALUを挟まっていることで」→「「ALUが挟まっていることで」
    • p.193 同一の脚注が重複してしまっています。
    • p.205 図6-35 最上段 出力 「0(数字)」→「O(アルファベット)」
    • p.205 下から2段目 出力 1→0
    • p.254 下から4行目 「図8-6」→「図8-3」
    • p.260 下から4行目 「スイッチを上に上げると」→「「スイッチを下に下げると」
    • p.233 最下行「ですからこの方法プロ…」→「ですからこの方法でプロ…」
    • p.238 図7-14 「ブラウザ情報」→「フラグ情報」
    • p.299 3章(1)解説内 「という問題の条件に~」→「という問題の条件に~」
    • p.300 9章(3)解答 「Aclnowledge」→「Acknowledge」
    • p.300 回路図 縦に4つ並んだAND回路のうち、一番下はBCDに接続するのが正しい

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ライトノベル・スタディーズ

◆書誌情報
出版社による書籍紹介ページ
http://www.seikyusha.co.jp/wp/books/isbn978-4-7872-9216-2
◆解説
◇出版社解説文

アニメ・漫画・映画・文学にも大きな影響を与え続けるライトノベル。ラノベの過去から現在までを押さえたうえで、ジャンルを越境するラノベの可能性やより深い作品読解を大胆に提示する。海外ラノベ事情を紹介するコラムや年表も所収するラノベ研究入門書。

◇著者解説文

前著『ライトノベル研究序説』から4年半。ブームは多少峠を越えた感じはあるものの、まだまだ出版界では大きな存在感を放っています。

研究序説と同様、幅広い分野の視点を取り込みながら、研究序説よりさらに踏み込んだ検証・論考をそろえました。

山口は、「春来たる死神は幾度もやってくる――桜庭一樹『GOSICK』の復活劇」「ライトノベル作品群の統計解析」を担当しました。

ライトノベル研究序説

◆書誌情報
出版社による書籍紹介ページ
http://www.seikyusha.co.jp/books/ISBN978-4-7872-9188-2.html

本書所収の拙稿「セカイ系と日常系」が、前島賢氏の「セカイ系とは何か―ポスト・エヴァのオタク史」に主要参考文献として紹介されました!

◆解説
◇出版社解説文

アニメ的なイラストがついているエンターテインメント小説であるライトノベルは、メディア・ミックスを繰り返しながら若者だけでなく多くの人々を魅 了している。もはや文化現象とさえいえるライトノベルの歴史、オタク文化・ゲーム・児童小説などとの関連性、解読するための多様な視点、具体的な作品読解 など、ライトノベルをより楽しく読む手法を余すところなく丁寧に伝授する。

◇著者解説文

ここ数年、ライトノベルと呼ばれる形式の小説が若者を中心に人気を集めています。それに伴い、大学の文学部などでは、ライトノベルをテーマとして研究を行いたいという学生が急速に増えています。

その一方で、ライトノベルに関して十分な知識を持った教員はまだ少なく、さらにはライトノベルそのものが、まだまだ一般にはアカデミックな研究対象として見なされていないという問題があります。

そこで、様々な専門を持つメンバーがライトノベル研究会として集まり、ライトノベル研究を行う際の手引となるべく執筆されたのがこの本です。様々な角度からライトノベルの実体を切り取り浮かび上がらせる形で、ライトノベルとは何なのかを考察します。

ライトノベルがたどった複雑な歴史を立体的に網羅した年表、豊富な参考文献紹介など、研究資料としての使いやすさにも配慮しています。

山口は、2つのコラム(「セカイ系と日常系」「情報工学」)を執筆しました。

◆正誤情報

以下の誤りが見つかっています。謹んでお詫びいたします。 (山口の担当箇所のみ示しています)

  • 第2刷
    • p.149 4行目 『イリヤ空、UFOの夏』→『イリヤの空、UFOの夏』
  • 第1刷
    • p.151 注(4) 正しくは次の通り
      • 葵せきな『生徒会の一存 壁要学園生徒会議事録1』(富士見ファンタジア文庫)、富士見書房、二〇〇八年
    • p.151 注(5) 正しくは次の通り
      • 葵せきな『生徒会の三振 壁要学園生徒会議事録3』(富士見ファンタジア文庫)、富士見書房、二〇〇八年

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13597824495_6e75ba1149_zクロスワードや数独(ナンバープレイス)に代表される、「ペンシルパズル」というものがあります。日本には「ニコリ」というパズル専門の出版社(「数独」という名前を命名し、世界的にヒットさせてSUDOKUという国際語にしてしまった会社です)があり、ここのパズルが私も大好きなのです。

この出版社の出す「パズル通信ニコリ」という雑誌に、『地元の図書館に、ニコリの本が多数所蔵されている』という投書がありました。

ペンシルパズル本は書き込んで問題を解いてはじめて意味があるものだと思いますが、図書館の本に書き込みをするのは、大きなマナー違反です。さてこの「書けないパズル」に価値はあるのでしょうか?ちょっと考えればこの矛盾に気づきそうなものですが、司書さんは、いったい何を考えてニコリのパズル本を買っているのでしょう?謎です。

ペンシルパズル本に資料的価値を認めて、遠い将来に残すために蔵書しているのか?
はたまた、購入依頼が入るので仕方なく買って蔵書しているのか?
それとも、図書館にコピー代を落としていってもらう作戦か…?

かつてはこんなマニアックなものも出していました。

 



Crosswords... / j0sh (www.pixael.com)

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4359516555_b9580382c6_z以前ブックオフにて本を漁っていた時の事。気になった本を適当に手に取りながら吟味していると、一冊の本に、しおりのようなものが挟まっていました。

すぱっと開いてみると、中に入っていたのは栞でも出版社のチラシでもなく、1枚の葉書。それも、元所有者に宛てた(と思われる)完全に個人的な葉書。あまりに予想外で信じられないオマケ(?)だったので、思わず本そっちのけで、表・裏・表・裏・と何度も見返してしまいました。

ちょっと本を閉じるとき、丁度良い栞がなくて手近にあるもの(カバンの隅にいつの間にか溜まっているレシートを挟んだりすることが多い)を挟んでしまうことは私も良くあります。ただうっかり放置してそのまま古書店に売ってしまったりすると、ブックオフなどの大手チェーン店では、買い取った本のチェックが行き届いていないことが多いので、そのままプライベートな手紙が放浪の旅に出ていきかねません。注意しましょう。

…古書に挟まったプライベートな手紙など見つけてしまった場合は…とりあえずその本と一緒に手紙を一緒に店員へ渡すのが賢明でしょうね。持ち主に返却できるのかどうかはわかりませんけども。


トップで使用した画像は、コーネル大学図書館が所蔵するもので、かのルーズヴェルト大統領のもの(らしい)です。ふと手に取った古書から、お宝ものの手紙が出てくることが、ひょっとしてあるかも…?

Theodore Roosevelt Postcards / Cornell University Library

かつて大学で学生実験の指導を担当していた頃、そして研究室で後輩の指導をしていた頃、あまりにも学生が本を読まない/読もうとしない学生がいることに驚きました。

工学部の学生でありながら「講談社ブルーバックス新書」の存在を知らない学生がいました。新宿のキャンパスに1年近く通っていながら、紀伊国屋書店やジュンク堂書店(今は撤退してしまいましたが)の存在を知らない学生もいました。

実験レポートに参考文献や引用文献を示すように言っても、インターネットの参照が目立ちます。しかるべき注意さえ払っていれば、ネット資料の参照、引用は構わないと私は考えていますが、内容を吟味したり検証するにあたっては、やはりある程度はネット以外の資料にも目を通す必要があります。

そのような学生を指導する中で気づいたことは、書籍と縁遠い学生はまず「書籍との触れ合い方を知らない」ということ。昨今は朝読書の習慣が小学校で広まるなどして、本(活字媒体)に目を通す重要性は口酸っぱく聞かされていても、じゃあどのように必要な本を手に入れるのか?という事を教わる機会が少ない。だから入口の垣根が低いインターネットに頼るのです。

そこでこのページでは、「どうやって私が次に読む一冊を手に入れているか」を中心に、本との付き合い方を整理してみたいと思います。

先に断っておきますが、あくまでも「私なり」のスタイルなので、万人に有効な保証はありません。読む本の趣味も偏っていますから、あらゆるジャンルに万能な方法ではないかもしれません。それでも、このページを見て、ちょっと本屋に寄ってみようとか、本棚で埃をかぶっていた本に手を伸ばしてみようとか思ってくれる人がいれば、嬉しく思います。

合わせて、教員や、院生や、子どもの保護者などの立場で、若い人の教育に関わっている方へ。試験の成績向上だ、受験対策だといった目先の知識だけはなく、「知識を得るための知識」として、本との触れ合い方を伝授する事が、とても大切ではないでしょうか。このページがその一助となれば幸いです。