すっかり放置してしまったこのブログ。なんだか色々「役に立つ」ことを書こうとしすぎて疲れてしまった感じがあります。

しかし元々は、私の本棚に並んでいる本をぼちぼちと紹介する場を作ろうと思って設置したブログだということを、ふと思い出しました。

紹介したい本がいろいろ溜まっているので、また仕切り直してぼちぼち書いてみようかと思います。

How Music Works

書斎の本棚から:台北捷運女孩觀察日誌」を書くために、博客來へアクセスしたところ、トップページにて真白な表紙に「製造音楽」と書かれた本を見つけた。シンプルながらインパクトのある表紙だったので思わずクリックすると、どうやらDavid Byrne(デビッド・バーン)氏の"How Music Works"と言う本の翻訳版らしい。

探してみたが、残念ながら日本語版はまだないようだった。

日本にいながら、台湾の通販サイトに行き、アメリカで出版されたアメリカ在住イギリス人の本を知ることができる。すごい時代になったものだ…。

ちなみに、私の所属するライトノベル研究会のブログにて連載された「ライトノベル翻訳事情」を書いた太田さんは、この連載を書くためにAmazonを中心にインターネットを駆使して、世界中から翻訳ライトノベルを買い集めていました。言語の壁さえ超えれば、読書の世界ももっともっと広がるのですね。(もっと学生時代に英語の勉強をしておけばよかった…)

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6743831443_8aa84be590_z大学時代、とある書店でアルバイトをしている後輩がいました。
彼の勤めていた書店はチェーン店ではあるものの、駅の地下街の片隅にある、
フロア面積の小さな、目立たない書店でした。

アルバイトを始めてしばらくして、彼はアルバイトながら、「ライトノベル」の棚担当者に
任命され、ライトノベル棚に入れる商品の選定・注文を任されるようになりました。
ライトノベル棚と言っても、与えられたのは本棚のうち2列だけ。文庫本50~60冊くらいを収めるともういっぱいになってしまいます。ライトノベルは月に100冊以上の新作が発売され、しかも人気作になると10巻、20巻以上のシリーズになります。60冊が入る棚では、最新刊の
ライトノベルを紹介することすら難しいのです。全国的にライトノベルブームになったとはいえ、立地の関係であまり若い人が立ち寄るお店でなく、しかも近所にはコミック・サブカル専門店もあることから、あまり力を入れていなかったのでしょう。

さて、そんな小さなライトノベル棚を任された彼はどうしたか。なんとその貴重な棚のうち1/5くらいを、自分の趣味であるTRPG(Table talk Roll Playing Game)の本(リプレイ本&ルールブック)に割り当て、常設しました。TRPGの本は今でも、かなりニッチジャンルの本(一般論として話しています。TRPG好きな方、見ていたらごめんなさい…)で、アニメ・マンガ・ライトノベルなどを専門に扱う書店でもあまり多くは見かけません。

とても貴重な棚の一部を、TRPGというニッチジャンルの本に割り当てた結果、どうなったと思いますか。TRPGファンの中でじわじわと「あの店にはTRPGの本が常にある」という噂が広まり、TRPGファンが本を求めにやってくるようになりました。そして、TRPGの本の「ついで」に、その横に並ぶライトノベルもセットで買ってくれるようになったのです。おかげでこのお店は、TRPGファンという固定客を取り込むことに成功し、結果としてライトノベルの売り上げも急上昇。あれよあれよと言う間に、ライトノベル棚は拡張され、最終的には棚2つ全てがライトノベルに割り当てられるようになり、ライトノベル最大手「電撃文庫」の優先配本を受けられるまでに成長しました。(電撃文庫は、売り上げ実績の多い書店から優先的に商品を卸す方式を採用しており、優先配本を受けられるか否かで、確保できる商品数が大きく異なる)

お店自体は小規模でも、ジャンルを限れば(今回の場合はTRPGというジャンル)専門店顔負けの品揃えがある場合がある…という、一つの実例でした。



Gaming Dice / Skakerman

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13597824495_6e75ba1149_zクロスワードや数独(ナンバープレイス)に代表される、「ペンシルパズル」というものがあります。日本には「ニコリ」というパズル専門の出版社(「数独」という名前を命名し、世界的にヒットさせてSUDOKUという国際語にしてしまった会社です)があり、ここのパズルが私も大好きなのです。

この出版社の出す「パズル通信ニコリ」という雑誌に、『地元の図書館に、ニコリの本が多数所蔵されている』という投書がありました。

ペンシルパズル本は書き込んで問題を解いてはじめて意味があるものだと思いますが、図書館の本に書き込みをするのは、大きなマナー違反です。さてこの「書けないパズル」に価値はあるのでしょうか?ちょっと考えればこの矛盾に気づきそうなものですが、司書さんは、いったい何を考えてニコリのパズル本を買っているのでしょう?謎です。

ペンシルパズル本に資料的価値を認めて、遠い将来に残すために蔵書しているのか?
はたまた、購入依頼が入るので仕方なく買って蔵書しているのか?
それとも、図書館にコピー代を落としていってもらう作戦か…?

かつてはこんなマニアックなものも出していました。

 



Crosswords... / j0sh (www.pixael.com)

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4359516555_b9580382c6_z以前ブックオフにて本を漁っていた時の事。気になった本を適当に手に取りながら吟味していると、一冊の本に、しおりのようなものが挟まっていました。

すぱっと開いてみると、中に入っていたのは栞でも出版社のチラシでもなく、1枚の葉書。それも、元所有者に宛てた(と思われる)完全に個人的な葉書。あまりに予想外で信じられないオマケ(?)だったので、思わず本そっちのけで、表・裏・表・裏・と何度も見返してしまいました。

ちょっと本を閉じるとき、丁度良い栞がなくて手近にあるもの(カバンの隅にいつの間にか溜まっているレシートを挟んだりすることが多い)を挟んでしまうことは私も良くあります。ただうっかり放置してそのまま古書店に売ってしまったりすると、ブックオフなどの大手チェーン店では、買い取った本のチェックが行き届いていないことが多いので、そのままプライベートな手紙が放浪の旅に出ていきかねません。注意しましょう。

…古書に挟まったプライベートな手紙など見つけてしまった場合は…とりあえずその本と一緒に手紙を一緒に店員へ渡すのが賢明でしょうね。持ち主に返却できるのかどうかはわかりませんけども。


トップで使用した画像は、コーネル大学図書館が所蔵するもので、かのルーズヴェルト大統領のもの(らしい)です。ふと手に取った古書から、お宝ものの手紙が出てくることが、ひょっとしてあるかも…?

Theodore Roosevelt Postcards / Cornell University Library

かつて大学で学生実験の指導を担当していた頃、そして研究室で後輩の指導をしていた頃、あまりにも学生が本を読まない/読もうとしない学生がいることに驚きました。

工学部の学生でありながら「講談社ブルーバックス新書」の存在を知らない学生がいました。新宿のキャンパスに1年近く通っていながら、紀伊国屋書店やジュンク堂書店(今は撤退してしまいましたが)の存在を知らない学生もいました。

実験レポートに参考文献や引用文献を示すように言っても、インターネットの参照が目立ちます。しかるべき注意さえ払っていれば、ネット資料の参照、引用は構わないと私は考えていますが、内容を吟味したり検証するにあたっては、やはりある程度はネット以外の資料にも目を通す必要があります。

そのような学生を指導する中で気づいたことは、書籍と縁遠い学生はまず「書籍との触れ合い方を知らない」ということ。昨今は朝読書の習慣が小学校で広まるなどして、本(活字媒体)に目を通す重要性は口酸っぱく聞かされていても、じゃあどのように必要な本を手に入れるのか?という事を教わる機会が少ない。だから入口の垣根が低いインターネットに頼るのです。

そこでこのページでは、「どうやって私が次に読む一冊を手に入れているか」を中心に、本との付き合い方を整理してみたいと思います。

先に断っておきますが、あくまでも「私なり」のスタイルなので、万人に有効な保証はありません。読む本の趣味も偏っていますから、あらゆるジャンルに万能な方法ではないかもしれません。それでも、このページを見て、ちょっと本屋に寄ってみようとか、本棚で埃をかぶっていた本に手を伸ばしてみようとか思ってくれる人がいれば、嬉しく思います。

合わせて、教員や、院生や、子どもの保護者などの立場で、若い人の教育に関わっている方へ。試験の成績向上だ、受験対策だといった目先の知識だけはなく、「知識を得るための知識」として、本との触れ合い方を伝授する事が、とても大切ではないでしょうか。このページがその一助となれば幸いです。