かつて大学で学生実験の指導を担当していた頃、そして研究室で後輩の指導をしていた頃、あまりにも学生が本を読まない/読もうとしない学生がいることに驚きました。
工学部の学生でありながら「講談社ブルーバックス新書」の存在を知らない学生がいました。新宿のキャンパスに1年近く通っていながら、紀伊国屋書店やジュンク堂書店(今は新宿から撤退してしまいましたが)の存在を知らない学生もいました。
実験レポートに参考文献や引用文献を示すように言っても、インターネットの参照が目立ちます。しかるべき注意さえ払っていれば、ネット資料の参照、引用は構 わないと私は考えていますが、内容を吟味したり検証するにあたっては、やはりある程度はネット以外の資料にも目を通す必要があります。
そのような学生を指導する中で気づいたことは、書籍と縁遠い学生はまず「書籍との触れ合い方を知らない」ということ。昨今は朝読書の習慣が小学校で広まるなど して、本(活字媒体)に目を通す重要性は口酸っぱく聞かされていても、じゃあどのように必要な本を手に入れるのか?という事を教わる機会が少ない。だから 入口の垣根が低いインターネットに頼るのです。
そこでこのページでは、「どうやって私が次に読む一冊を手に入れているか」を中心に、本との付き合い方を整理してみたいと思います。
先に断っておきますが、あくまでも「私なり」のスタイルなので、万人に有効な保証はありません。読む本の趣味も偏っていますから、あらゆるジャンルに万能な 方法ではないかもしれません。それでも、このページを見て、ちょっと本屋に寄ってみようとか、本棚で埃をかぶっていた本に手を伸ばしてみようとか思ってく れる人がいれば、嬉しく思います。
合わせて、教員や、院生や、子どもの保護者などの立場で、若い人の教育に関わっている方へ。試験の成績向 上だ、受験対策だといった目先の知識だけはなく、「知識を得るための知識」として、本との触れ合い方を伝授する事が、とても大切ではないでしょうか。この ページがその一助となれば幸いです。