書斎の本棚から:境界の皇女

境界の皇女

位置づけとしては、歴史物の雰囲気をまとわせた異世界ファンタジーになるのでしょうか。表紙の絵は、風にたなびく極細の絹糸のような髪が印象的です。Amazonではライトノベルに区分されていますが、少し判型の大きいノベルス版の本ですので、書店でお探しの際はご注意下さい。

古の呪術を受け継ぐ野椎国第一位皇位継承者である姫 伊古那が、継母の言いつけで5年もの間書庫に幽閉された上、突如火遠理国の王に嫁ぐことを言い渡される。政略結婚と知りつつ向かった火遠理国で運命的な出会いを果たすと共に、陰謀に巻き込まれ…というお話し。

アクションシーンもありますが、派手なリアクションや立ち回りといった視覚的要素に頼らず、登場人物(特に伊古那)の心理を丁寧に描写し、繊細な人間関係を作りこんでいることに好感が持てます。その一方で、情景描写や世界観描写はかなりあっさりしています。読みやすいという意味では良いのですが、せっかく人物描写が魅力的で、伏線になりそうな興味深い設定もたくさんあるので、もっと背景を書き込んで描写すると、映画のように壮大な想像の広がる作品になりそうです。今後も続刊して、壮大な世界が構築されていくことを期待します。

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