私は高校入学と同時に写真部に入り、写真の勉強を始めました。顧問の先生がとても良い人で、「写真雑誌の読者投稿や、プロの写真集を見て勉強しなさい」とよく言われたのですが、我が強く、技術とか理論の方に興味があったもので、先生の教えはあまり実践していませんでした。
プロの作品は不勉強な私ですが、数少ない私の知る写真家の中で、断トツに好きなのは秋山庄太郎先生の撮るポートレート写真です。ほとんどの作品は黒バックのスタジオで被写体に強烈な照明を当て、粒子の細かいモノクロ写真に仕立てています。皮膚の質感は触ればその人の温もりが感じられそうなほど生々しく、同時に顔だけが光の固まりとなって画面に浮かび上がることで強烈な印象を与えます。それでいて、被写体の人となりがしっかりと伝わってきます。
秋山庄太郎先生の作品はなかなかお目にかかることができないので、ぜひ作品集が欲しいと思い、Amazonで古本を探してやっと手に入れたのが、この2冊です。