書斎の本棚から:音楽嗜好症(ミュージコフィリア) 脳神経科医と音楽に憑かれた人々

音楽嗜好症: 脳神経科医と音楽に憑かれた人々 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

現役の脳神経科医であり、世界的に著名な作家であるオリヴァー・サックスが、文字通り「病的」に音楽を摂取する(好むと好まざるとに関わらず)人々を紹介した本。

人間の脳は大変複雑なシステムを構成している。この脳を構成する各部分を、極めて繊細なバランスで協調動作させて、初めて音楽は音楽として認識され、楽しみ、消費できている。この本に登場する人物の多くは、その協調動作が―ほんの少しだけ―狂ってしまった人々である。そのほんの些細な狂いが、音楽の受容・認識を大きく変えてしまう。その症状を詳細に観察することで、人間の脳がどうやって音楽を音楽として処理し、認識するかを逆照射することができる。大変興味深い事例がたくさん掲載されている本。

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