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太陽を分け合ったら

この記事には、山田庵巳さん・青葉市子さんの曲「機械仕掛乃宇宙」のネタバレを含みますので、気にする方はご注意ください

はじめに

最近、青葉市子さんの曲をよく聞いている。青葉市子さんを知ったのは、「機械仕掛乃宇宙」という素晴らしく美しい曲を聴いたのがきっかけだ。公式のライブ動画がアップロードされているので、知らない人はまずぜひ聞いてみてもらいたい。(「青葉市子 - 機械仕掛乃宇宙(20131125) Shibuya WWW」

この曲はもともと山田庵巳さんの曲で、こちらもまた趣が変わって大好きである。(「山田庵巳 (야마다 안미) - 機械仕掛乃宇宙 (기계장치의 우주)」

純粋な音楽というよりも、音楽劇あるいはストーリーのある組曲といったほうが良いかもしれない。山田さんバージョンは途中に語りを入れることで音楽劇に近く、青葉さんバージョンは語りをなくして音楽だけにすることで全体をスッキリさせるとともに、想像の幅を広げているように思う。(参考歌詞サイト:「Uta-Net 機械仕掛乃宇宙」

太陽を分け合ったら

さて、山田さんバージョンの「機械仕掛乃宇宙」では〈二人分の太陽〉というキーワードが物語の鍵になってくる。これを聴いて、さて二人分の太陽とはいったいどれくらいのものなのか?という疑問がわいたので、計算してみることにした。(情緒がない、という突っ込みはわきに置いておくとして…)

太陽定数

調べてみたら、元地学教師の山賀進さんという方がよくまとまったサイトを作ってくださっていた(https://www.s-yamaga.jp/nanimono/taikitoumi/taikitotaiyoenergy.htm)。これによると、大気圏外で太陽に垂直な1m^2の面が、1秒間に受け取るエネルギーは1.37×10^3J・m-2・s-1で、これを太陽定数というそうだ(手元の理科年表では1.37kWm^-2となっているが、W=J/sなので同じこと)。

地球表面が受け取る太陽エネルギー

太陽定数から、地球の断面積と半球面積の比率、そして大気(雲や塵)による減衰を考慮すると、地表が受け取っている(吸収している)太陽エネルギーは、太陽定数の1/4×1/2=1/8で、1.71×10^2J・m-2・s-1となる。

地球の赤道半径は約6378kmなので、半球面積は2×π×r^2=255.5×10^12m^2であるから、昼の地表に届くエネルギーの総量は436.9×10^14J・s-1=43690TW(テラワット)。

一人当たりの太陽エネルギー

2021年の地球の人口は78億7500万人(https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20210708_0#:~:text=1987%E5%B9%B47%E6%9C%8811,%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%A8%E4%BA%88%E6%B8%AC%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82)だそうだ。これらの人が地球上に均等に分布しているとすると、半分は夜の世界なので、昼の世界で太陽にあたっている人は39.375億人=39.375×10^8人。

従って一人当たりが地表で受け取る太陽のエネルギーは436.9×10^14J・s-1÷39.375×10^8人≒11×10^6J・s-1=11MW(メガ・ワット)となる。

おわりに

以上の計算により、〈二人分の太陽〉は22MW(メガ・ワット)であることがわかった。こうして計算してみると、作品の中ではさらりと出てきた〈二人分の太陽〉という言葉も、実現しようと思ったらなかなかに大変なことであることがわかる。


現在ご覧のページの最終更新日時は2021/09/26 14:24:16です。

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