炎のゴブレット 第38章

「じゃあな、ハリー」ロンがハリーの背中を叩いた。
 「さよなら、ハリー!」
 ハーマイオニーは、これまで1度もしたことのないことをした。ハリーの頬にキスしたのだ。
 「ハリー――ありがと」
 ジョージがもごもご言う隣で、フレッドが猛烈に頷いていた。
 ハリーは2人にウインクして、バーノンおじさんのほうに向かい、黙っておじさんの後について駅を出た。今心配しても仕方が無い。ダーズリー家の車の後部座席に乗り込みながら、ハリーは自分に言い聞かせた。
 ハグリッドの言うとおりだ。来るもんは来る来たときに受けて立てばいいんだ。

第38章  

 ハリーが見えなくなった後、フレッドとジョージはモリーの見えないところではしゃいでいた。
 ハーマイオニーは、いま自分がしたことに少し驚きながらハリーの行ったほうを見ていた。
 ロンは羨ましそうにハリーを見送り、ハーマイオニーの方を見ていた。
 ハーマイオニーが振り向いた。ロンと目が合う。ロンがハーマイオニーに話しかけた。
 「なに赤くなってんだよ」
 「ロンこそ何?ずっとこっちを見て」
 少し間があく。
 「もしかしてハリーを妬いてる?」とハーマイオニー。
 「何だって!?」と顔を赤くするロン。
 「また始めるのかい?」フレッドがいきなり顔を挟む。
 「声がでかいぞ」とジョージ。
 「そろそろ行くわよ」
 「はーい」ウィーズリー家のみんなが同時に返事を返す。
 「じゃ、また新学期に」とロン。
 「じゃーね」とハーマイオニー。
 そしてハーマイオニーがロンにも頬にキスしようとする。しかし突然ロンが振り向いてしまった。
 ハーマイオニーはロンの口にキスしてしまった。しかしお互い離そうとしない。
やっとのことで顔が離れた。二人とも猛烈に顔を赤くする。でも、ハーマイオニーは文句をつけることもできなかった。怒るより驚いていた。自分の気持ちに。
 ロンもまた驚いていた。二人ともお互いに今までと違う気持ちが芽生えつつあった。
 「ありがと」とロン。こんな言葉が出てくるとは。ハーマイオニーはもとより言った本人も驚いていた。
 「ワーオ」フレッドとジョージがからかう。
 「だまれよ」ロンがむきになる。
 「ハリーには黙っておいてね」とハーマイオニー。
 「平気だって、ハリーにはいとしのきみがいるもんな」とフレッド。
 「え!?」ハーマイオニーとロンが同時に声を上げる。
 「誰?教えろよ」とロン。
 「おっといけない」とフレッド。
 「まあ、気にするな、この事は黙っておくから」とジョージ。
 「早くしなさい!」とモリー。モリーは今のことを見ていなかったようだ。
 「はーい」と3人。
 「バーイ」みんなで別れの挨拶をする。
 ふたりとも、もう一言言いたいと言う衝動に駆られていた。自分の気持ちを。しかし、ここは我慢した。これは半分事故なのだから。
 そして、みんな懐かしの我が家へ戻るのであった。

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