星かげさやかに(Hermionys Opinion)

「オリオン座は冬の代表的な星座で、有名な四角形の形はベテルギウス(0.5等級)
 リゲル(0.16等級)、セイフ(2.6等級)、ベラトリクス(1.64等級)の四つで出来ている。
 さらに中心には3つ斜めに星が並んで.....」

この間予習したところよね...。
洋皮紙の上を羽ペンが軽やかに滑っていく。

「今日の授業はここまで。」

余裕で洋皮紙にまとめを書き上げた時、先生の一言が授業が終わりを告げた。

私はいつも通りにとろとろと心地よい温もりを与える暖炉の前で本を読んでいたわ。
そんな時にハリーが後ろから私を呼ぶのもいつも通りと言えばいつも通りだわね。

「ハーマイオニー!」

あ、ほら今日も来た。

「なに?ハリー?」

私は手に抱えていた本から目を上に移すと、向こうからハリーが歩いてくる所だった。

「オリオン座にある星雲の名前ってなんだったっけ?」

「『オリオン座大星雲』よ。等級5.67。」

「...5.67っと。ありがとう。そういえばさぁ...」

私はまたこれもいつも通り、本にしおりを挟んで、いつものように会話をしたわ。

ちらほらと部屋に帰る人が出てきた頃、私も類に漏れず自分の部屋に向かったわ。
でもどういうわけだか頭が冴えて眠れなくて、明日の予習を終えた上に今日の復習をしていたわ。
今日の魔法史の授業分を読み終えた時、いい加減横にならなくては、とランプを消して
ベッドに横になったんだけど..。
ふっ、と何かいつもと違う気配を感じたの。ゆっくり周りを見渡してみたけど別にだれかが
いる訳でもない。物の配置がかわっている訳でもない。
そう思っていたんだけど、すぐに私は違和感の原因に気がついたわ。
一瞬ドアが歪んで見えたの。そう、まるで透明マントがめくれた時のように。

...透明マント?...

頭に浮かんだ考えを確かめるために、私は極力気付いていないふりをして
ドアに向かって手を延ばしたの。

さらっ...とシルクのような、質のいいビロードのような手触りがしたわ。
と..いうことはそこにいるのは...

「...ハリー?...」

返事の代りに手だけが突然空間に現われて入り口の方へと手招きした。
間違いない。ハリーだわ。

いわれるがままに廊下に出るとハリーがにゅっと顔を出してきた。

「ハリー、あなたはここに来てはいけないはずよ。」

あら?なんかどこかで言われたことのあるような台詞だわ。

「...ごめん。...」

「で、何の用?まさか私の寝顔を見に来たなんて訳じゃないわよね。」

うっと一瞬詰まった...ような顔をしたハリーは小声でささやいた。

「展望塔へ行こう」

ハリーと一緒に透明マントをかぶって静かに、静かに、外に出ると、
夜によくある涼しい..いや、冷たい風がふいてた。
私、慌ててカーディガンも取ってこなかったから寒い。

向こうでハリーが手招きしてきたので見ると、箒を持っていたわ。一本だけ。

「二人乗りするつもり?」

「大丈夫。僕は100年に1度のシーカーだもの。落としゃしないさ。」

私もハリーが世界一のシーカーだと信じていたから、特に怖いとも思わず、箒に乗ったの。
それにしても..自分で世界一のシーカーと自負しているのはさすがだわね。
思わず笑ってしまったけれども、悪気がある訳ではないことは向こうにもわかったみたい。

「しっかり掴まってね。」

私はハリーの肩に掴まると、ハリーは地面をけった。

ハリーの背中が温かくて、ついつい背中に体を預けていると、
とくん、とハリーの鼓動が聞こえた気がして。
そう思うとまた、とくん、と鼓動が聞こえた気がして、どんどん不思議に心地よくなっていく。
いつまでもこの状態が続いてほしい。とさえ思った。
ハリーはクィディッチの試合の様子からは想像できないほどゆるやかに飛んでくれて、
あと5分、いや3分でも長くこの状態が続いたら心地よい眠りの世界に引き込まれてしまいそうだった。

緩やかに塔の上に着地すると、ハリーは今日習った星座、オリオン座の方に向いた。

「願い星ってハーマイオニー、知ってる?」

私は素直に知らないと首をふったわ。

「オリオンの三つ星の中の一つ、ベータ星の事を昔から願い星って呼んでるんだ。
 なんでも願いをかなえる星ってね。」

そういってハリーは静かに手を組んだ。月明りに照らされたその姿は
荘厳な絵画のようで、私も迷わずに手を組んだ。
(どうか、この喜びがついえないように)と。

「何をお願いしたの?」

一心地ついた後、私はハリーに聞いて見た。

「『君と同じ事をお願いします』ってね。」

その答えにちょっと驚いたけれども、それより先になんだか嬉しくなってきちゃって、
私は惜しまずに微笑んだわ。

私は不思議な満足感に満たされながら、また箒に乗って下に下りた。
あ、ちょっと意地悪してみようか。

「で、本当にここに呼ぶことが理由だったの?」

顔には出さなかったけど痛い質問だったに違いないわね。
澄ましているけれども一瞬だけ目が泳いだ気がした。

「120%の大成功ってとこかな。」

と、いうことは私をここに連れてこれたのは予想以上の事だったってことね。
そう思ったけれども嬉しい答えであることにかわりはないから、これ以上意地悪はしなかった。
改めてハリーは不思議な人だな...と思う。さっきの美しい絵のような姿と、無邪気な姿との
二面が見えてくる。 それがハリーをハリーたらしめている所なのかもしれない。

今度眠れない夜は私からハリーの部屋に行きましょうか。
何よりも優しくて、何よりも安心できて、何よりもよく私を眠りに誘ってくれると思うから。
いやむしろ、今日から私はそれを確信した。

この日以降、ハーマイオニーがよく不眠を(あくまでハリーに)訴え出したのはまた別の話である。

後書き
い、いかん!甘過ぎだ!甘過ぎる!
どこかに塩を一つまみいれないといけないなぁ..と思っていたのに
気がついたら砂糖を一掴み入れていたようです。
書いている私はなかなかおもしろかったですけどね。

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