「お弁当、おすそ分け。」
"sharing box lunch"
Harry & Draco
「ポッター。貴様は何の権利があってここで飯を食らっているんだ?」
スリザリン寮のテーブルで食事をしているドラコ。
冷凍光線のような視線の先に相手を捕え、容赦ない氷のような言葉をドラコが浴びせる。
「いいじゃない。せっかく出張してあげたんだからさ。」
テーブルを挟んで向かい合い、その視線に捕えられた相手は...グリフィンドール寮のハリー。
普通ならとても恐ろしく感じるその視線にも、ハリーが動じる気配はない。
悠々と匙を運ぶその顔は、むしろ楽しんでいるようにさえ見える。
...事実、楽しんでいるのだが。
「どうしてわざわざこんな所に来る?“飛んで火に入る夏の虫”という諺を知らんのか?」
「君が好きだから。」
間発入れずあっさりとハリーが言ってのける。表情も真面目なまま。
とても冗談で言っているとは思えなかった。
もっとも、ハリーも真面目に言っているのだから当り前。
それを知っているドラコも、ひねりもまったくない物言いに思わず頭を抱えた。
「ポッター。どうして貴様は...」「どうしてって、己の欲するがままに行動しているだけ。」
もう、ハリーにはドラコの小言はお見通し。かねて用意していたかのごとくさらさらと反応を返す。
あげあしをとろうにも、掴み所がないハリーの返事にはさすがのドラコも閉口せざるを得なかった。
「まぁ、いい。そのかわり、余計なことをするな。絶対に。さもなくば...」
「君が何もしないなら、静かにしてるよ。」
淡々と匙を運び、表面上だけは実に冷淡にふるまっているハリー。
しかし、よく見ると匙の先が震えているのが分かる。すくい方もあまり上手くない。
しばらくは無言だった。そう、しばらくは。
ハリーの皿の中味が尽きかけた頃、不意にハリーは席を立ち、どこかに消えてしまった。
視界の端でその様子をこっそり見ていたドラコが安堵のため息を漏らす。
「まったく...目の前にいるだけで、何が起こるかわかったもんじゃないからな...。」
「誰が?」
死角からすっ、と自分の皿をテーブルに置き、ドラコの横に座り込む。
勿論、ハリーである。
「なっ...ポッター、終ったんじゃ...」
不意をつかれたドラコが明らかに動揺する。
「おかわり、貰って来ただけ。ついでに、席を移動しただけ。悪い?」
「ふん、ご苦労な事だなポッター。」
「ありがとう、ねぎらってくれて。」
「皮肉だ、馬鹿者!」
調子を狂わされっぱなしのドラコと、もう隠そうともせず目に見えて楽しむハリー。
回りからの視線も気にする様子はない。
「ったく。よくもまぁそう、のうのうといられるな。」
大きな声で文句をいう訳にもいかず、ぶつぶつと文句を言いながらドラコがシチューを口に運ぶ。
いつもなら何がしかの文句を言うはずの冷めかけたシチューにも何も言わない。
「あ、ドラコ。」
「今度はなんだ!!俺を当てこする気か?」
ぺろっ、と振り向きざまのドラコの口元を、ハリーの口がかすめていった。
「口に、シチューついてた。」
にやぁっと、実に嬉しそうな顔をするハリー。
「お弁当、ご馳走様。」
銀髪の根本までドラコが血を昇らせる。
「ハリー!貴様!!!」
Winner,Harry。
こんな他愛もない、ある日の食事時。
Fin.
後書き
うーん、慣れないと書きづらいですね...。
読む分には面白いのに...しばらく研究が必要かもしれません。
え、この後二人はどうなったかって?
それはもう、キ(自粛)....じゃなくて。(汗
二人で楽しく喧嘩したみたいですよ。(汗汗
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